スマート冷蔵庫が抱えるセキュリティとプライバシーの問題

2017.02.06

ラスベガスで開催された CES 2017 で発表された「生活に欠かせない」スマートホーム関連の新製品(リンク先:英語)については、すでにいくつかご紹介しました。


CES は毎年開催されている家電業界のイベントです (現在は単に CES と呼ばれていますが、かつては Consumer Electronics Show (家庭用電化製品展示会) の略称でした)。


CES の会場では、欲しいかどうか、ましてや必要かどうかさえ分からない未来のインターネット接続デバイスが展示されています。


今年は、正しいブラッシングを促す触角センサー搭載型ヘアブラシが登場しました。


また、いびきを検知すると頭を持ち上げたり、冷えた足を温めたりするスマートベッドも発表されています。


問題は、こうしたデバイスの多くが、提供しても害がないとユーザーが考えるデータ (L’Oreal のスマートヘアブラシ Hair Coach が収集している毛髪データなど) を収集している点です。


ヘアブラシの動かし方や就寝中の動きのデータが収集されてオークションで売却されても、共有されたり流出されたりしても、再び闇市場で売り飛ばされたりしても、ユーザーのプライバシーやセキュリティが脅かされることはないように思われます。


確かに、今すぐには影響がないかもしれませんが、さらに多くのデータが収集され、コンピュータが高速化し、データマイニングとデータ照合の技術が向上したら、どうなるでしょうか。


どれほど漠然としたデータであっても、ユーザーと何かしら関係があるデータが検索・ソートされ、他のデータセットと照合された結果、ユーザーがどこに行き、いつ何をし、どのような気分なのか、などが正確に把握される可能性があります。


詳細: The Big Data picture – just how anonymous are ‘anonymous’ records? (ビッグデータ – 「匿名」レコードの匿名性 (英語)) ►


問題はこれだけではありません。


先週の記事にも書いたように、CES で発表された新製品の中には、将来データマイニングによって悪用が可能になるかもしれないデータを収集するだけでは済まないものがあります。(リンク先:英語)


たとえば、クルーズ船で使用される Ocean Medallion(リンク先:英語) は、客室の鍵の役割を果たすだけでなく、買い物の管理や位置情報の追跡などの豊富な機能を搭載しています。そのため、同乗している家族だけでなく、クルーズスタッフも常にユーザーを追跡することが可能です。


さらに深刻な問題があります。


たとえば LG は CES において、「直感的なコントロールやホームマネジメントを可能にし、キッチンを家の中心に据える業界トップクラスのテクノロジー」を搭載した製品を発表(リンク先:英語)しました。

もうお分かりでしょうが、その製品とは冷蔵庫です。


「冷やす」以外の機能を搭載した冷蔵庫


オンデマンド冷却が産業革命から誕生した実用的な発明の 1 つであることに異論はありません。


しかし、LG が開発したのは、冷却機能を新たな高みへと押し上げた冷蔵庫でした。


LG の冷蔵庫 Smart InstaView Door-in-Door は音声操作が可能ですが、ユーザーにとってはプライバシーに対する懸念が生じるのも事実です。


この冷蔵庫には Amazon の音声サービス Alexa が統合されているので、ユーザーは話しかけるだけで中身を検索したり買い物したりできます。


Wi-Fi 接続カメラが内蔵されており、スーパーマーケットからスマートフォンを使って庫内を覗き、マスタードがどれくらい残っていたかを確認することもできます。


また、各アイテムの消費期限を把握するためのスマートタグと呼ばれる機能も搭載されています。


LG は、「多くの家族にとってキッチンは家の中で最も人が出入りする部屋の 1 つである」という認識の下、この冷蔵庫の売り込みを行っています。つまり、大人も子供も行き来し、会話したり食事をしたりする中で、個人情報や家族の秘密が冷蔵庫に収集されることをほのめかしています。


となると、この冷蔵庫の宣伝用パンフレットにはセキュリティに関する詳しい記述があって当然です。


しかし、LG Electronics and Home Appliance & Air Solutions Company の社長である Song Dae-Hyun 氏が「LG の Smart InstaView Door-in-Door 冷蔵庫は、ユーザーのキッチン体験をかつてないほど楽しいものにします」と話しているように、パンフレットには楽しい機能についての記述しかありません。


実際のところ、ソフォスがこれまで目にしたこの冷蔵庫の登場を歓迎する資料はどれも、セキュリティについて明記していませんでした。


対策


商品を購入する際にプライバシーとセキュリティを最重要視すること以外に、現段階で読者の皆様にできることはありません。


CES の情報に基づくと、LG の Smart InstaView に Amazon の Alexa が搭載されたり、リモートアクセスのために Wi-Fi 接続が内蔵されたりしたように、2017 年はエントリーレベルのものを含め数多くのデバイスに自動化された音声認識機能が搭載されることになりそうです。


事実、Ars Technica によると(リンク先:英語)、LG のマーケティング担当バイスプレジデントが CES において、今後 LG の全製品に「最新の Wi-Fi 接続機能」が内蔵される予定だと述べています。


つまり、多くのデバイスがクラウドに接続し、他人のサーバーにデータをアップロードする必要があります。たとえば Alexa は、デバイスに内蔵されているプロセッサーを使用して、ユーザーの発言を理解したりはしませんが、ユーザーの音声サンプルをクラウドに送信して、Amazon の強力なサーバーファームに処理させることになるでしょう。


プライバシーとセキュリティを重視した製品を消費者が購入するようになれば (さらに言えば、IC チップ搭載のペイメントカードを使用して購入するようになれば、CES に出展しているベンダーのプライバシーとセキュリティに対する意識も変化するはずです。

引用元

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