Facebook、Google、Amazon、Microsoft、IBM が
AI を共同研究

2016.10.14

人工知能 (AI) の実世界での応用の可能性が広がる中、Facebook、Google、Amazon、Microsoft、IBM が AI の共同研究団体の設立を発表しました。


メンバーの 1 人は BBC の取材に対し、「Partnership on AI」と名付けられたこのコンソーシアムの目的を次のように説明しています。


(引用文日本語訳)この AI の潜在能力を最大化し、一人でも多くの人が恩恵を受けられるようにしたい


この思いは、米国の団体 Future of Life Institute (FLI) が公開書簡(リンク先:英語)で表明した意見とよく似ています。FLI は「AI の社会的利益を最大化する」ことを目標としている団体で、テクノロジーの世界の著名人が数多く署名している公開書簡では「危険を回避しながら AI の恩恵を享受する方法を研究することが重要」だと訴えています。


確かに、AI は極めて大きな可能性を秘めています。今後数年の間に、医療や教育から製造、エネルギー管理、交通にいたるまで、日常生活のあらゆる面に影響を及ぼすようになることが予想されます。


高まる不安


同時に人々の不安も高まり続けています。「人間の仕事が AI に取って代わられるのではないか」、「乗り物の運転、手術、戦争での生死を分ける判断など複雑なタスクを機械が行うようになり安全が損なわれるのではないか」、「機械が人間よりも賢くなり、後戻りできないほど人間の生活が変容するとされる『技術的特異点 (Technological Singularity)』にいつか到達してしまうのではないか」など、人々はさまざまな恐怖を抱えています。


ソフォスは昨年、受賞歴のある AI 研究者でカリフォルニア大学コンピュータサイエンス学部教授を務め、有名な AI の教科書の執筆者でもある Stuart Russell 氏が、AI の危険性を核兵器に例えた Science 誌のインタビュー記事について報じました。


不安の解消と議論の拡大


これを念頭に、Partnership on AI は設立目的を Web サイトに次のように記しています。


(引用文日本語訳)AI 技術のベストプラクティスを調査して確立し、AI に対する人々の理解を深め、AI および AI が人間と社会に与える影響に関する議論や研究のためのオープンなプラットフォームを提供すること


Microsoft Research 所長の Eric Horvitz and 氏と Google 子会社 DeepMind の Mustafa Suleyman 氏が共同議長を務めるこのコンソーシアムには、さまざまな AI 研究機関と学界の専門家も参加を予定しています。BBC は次のように記しています。


(引用文日本語訳)Partnership on AI には企業と非企業のメンバーが等しく参加する予定です。現在 Partnership on AI はアメリカ人工知能学会 (Association for the Advancement of Artificial Intelligence) やアレン人工知能研究所 (Allen Institute for Artificial Intelligence) などの団体と協議中です。


人間による AI の制御


一般の人々を教育し、ベストプラクティスを確立し、議論を活発化する以外にも重要なことがあるはずです。


Partnership on AI のサイトに記載されている理念を The Verge が詳細に検証した(リンク先:英語)興味深い記事があります。この記事は次のように 6 番目の理念に注目しています。


(引用文日本語訳)人権に関する国際条約に違反する AI 技術の開発および使用に反対し、保護策と害を及ぼさない技術を推進します。


上記の理念は一定の自主規制をほのめかしている、と執筆者の Nick Statt 氏は指摘しています。参加している大手テクノロジー企業は、政府による規制を回避するにはある程度の自主規制は必要だと考えている可能性があります。


Apple 不参加の理由


他の大手テクノロジー企業が AI の成功に向けて積極的に取り組んでいる中、Apple はどうしているのか疑問に思われることでしょう。Apple は独自の AI プロジェクトに力を入れており、機械学習の新興企業を買収しています。


Microsoft の Eric Horvitz 氏は The Guardian 紙に次のように明かしています。


(引用文日本語訳)Apple とは協議を重ねており、Apple も Partnership on AI の取り組みに対して意欲的です。個人的には Apple の参加を望んでいます。


Elon Musk 氏はこれまで AI の危険性についていろいろと発言してきましたが、Musk 氏自身の AI プロジェクトである OpenAI も Partnership on AI には参加していません。ただし、両者の間で協議は行われている、と The Verge は伝えています。


歯止めとなるのは?


AI 革命に対する見解はさまざまですが「いずれ現実になる」という点は共通しています。


協議に透明性があり、外部からの意見が取り入れられることが前提ではありますが、大手テクノロジー企業が破壊的技術に共同で取り組むのは素晴らしいことだと筆者は考えます。


しかし、外部ガバナンスが今以上に強化されることが望ましいと思います。


今後 Partnership on AI が業界の自主規制団体になってしまったとしたら、何兆ドルものお金が絡んでいる場合であっても、このコンソーシアムは倫理上の問題を懸念する声に耳を傾けるでしょうか?

引用元

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